第8話 名もなき戦争

「どういうことだ! 何故既に我が国が押されている!」

「カイル殿! 今回の作戦は国王が不在だからしたのではないですか!」

 サルバーン国では大変な騒ぎとなっていた。直線距離では敵の城に一番近いからこそ、山越えさえしてしまえばすぐに倒せると思っていた国だったはずが、何故か第一部隊に第二大隊までもが全員捕虜となってい上に、いつの間にか押し込まれているのは自国の方となっていた。

「急いで四千の兵は戻したから捕虜になっていないものの、すでに敵は目前ですぞ!」

「心配いりません」

「何故だ!」

「今回敵は多く見積もっても一万程度でしょう。でしたら、この城に待機している数万の」

「敵兵視察終わりました!」

 そこで、会議室に一人の伝令兵がやって来る。カイルの待っていた伝令兵だ。

「ちょうどいい、報告せよ」

「はい、敵総数は約三千名」

「三千名⁉ 自殺しにでも来たのか⁉」

 その報告に戦争の分からない貴族達は胸をなでおろしたが、一人カイルだけが疑問に思った。戦争をわかっている人と、わかっていない人の違いである。

 何せ今サルバーン城にいる兵は数万人。どうあがいても三千人で相手できる人数ではない。

「他に何か無いのか」

 カイルはそう質問をした。

「はい、これは未確認情報ですが、戦略級魔法使いが一人いるとの報告が帰還した兵士から複数寄せられていて」

 その報告にカイルの顔が歪む。

「戦略級魔法使いだと、そんな馬鹿なことが」

 ズドン!

「何だ!」

「都市門の方からだぞ」

「まさか! 本当に戦略級魔法使いが攻めてきたのか!」

 その音を知らない彼らはそう判断した。いや、彼らの常識に当てはめると、そうとしか言いようが無かった。

 タイミングが良すぎたのである。伝令兵が伝えたばかりのタイミングで、何者かからの攻撃を受けた。

「何が起きている!」

 カイルは叫んだ、というよりそれしかできなかった。

 

「じゃあ、手筈通りにお願いね軍君」

「俺だけ大変じゃないか」

「大丈夫大丈夫、城門に近づかなければ砲撃には当たらないって」

「グッドラック」

 俺はそう言って背中を押す仲間を恨めしそうに見ると、一人城門から十キロほど離れた陣地から飛び立った。目標は城門よりさらに先の城である。

「怖いなあ」

今も正確に城門が砲撃をされて壊されていて、もう少しで装甲車が街の中に侵入する手筈となっている。これはあくまでも自衛隊の調査のためである。

「そして俺は、無傷で城の中にオルギウス兵を侵入させる」

 そのために、俺は姿を隠す魔法を使って城の監視している兵士を素通り。

「よし」

 すり抜ける魔法で城の中に侵入して適当な廊下に、天魔法を展開する。

「お願いします」

 オルギウス兵を城の中に招き入れたのだった。

「緊急連絡! オルギウス兵が城の中に攻め込みました!」

 会議室に一人の兵士が慌てた様子で入って来る。それを聞いて、カイルの顔が初めて崩れた。

「何だと! 監視していた兵は何をしていた!」

「それが、城の中に突如として出現した様子で、誰一人監視兵は気が付かなかった様子で」

 青い顔をしながらも兵士は確かに答えた。しかし、それはこの世界の常識では通用しない話だった。

「そんなことがあってたまるか! それでは本当に」

「戦略級魔法使いが攻めてきたってか?」

「だ、誰だ!」

 青色の髪の男が叫ぶと、俺達は部屋に入った。

「初めまして、俺の名前は猿渡一哲。こっちは仲間の落合翔に後藤恵梨香」

「どうも」

「初めまして」

「さて、俺たちの要求は一つだ。降伏しな、倭国に宣戦布告したこと後悔させてやる」

「戯言を」

 そう言うと、男が剣を構えた。

「名もなき野蛮な国の男など! 取るに足らんわ!」

「……」

 カイルが剣を振りぬくが、猿渡はそれを軽くかわして……。

「ふん!」

「グハッ!」

 顔面にストレートブローを入れて倒してしまう。

「すごい、一発KOだ」

「流石」

 二人が拍手をする一方で、貴族たちが一発で倒されたカイルの姿を見て慌てる。

「な、何をしているのだ! 他の兵士たちは何処にいる!」

「お前達、こんなことをしてただで!」

 そこで俺は威嚇のために発砲した。

「落合君、あまり無駄弾撃たないで」

「はい」

「でも、そうも言っていられないんじゃないですか」

「ねえ、みんな」

 そこで、主役が部屋に入って来る。

「変な道見つけてそこでこの人が逃げていたから捕まえたけれど、この人国王だって言うんだ。本当?」

 その人を見た時のさっきまで偉そうだった人達が顔を青ざめさせている。きっと本当なんだ。この男、本当に国王の確保までやっちゃったんだ。

「さて、じゃあ私からもう一度言いましょうか。降伏してくれませんか? 調査の弊害になるので」

 後藤がそう無機質に、部屋の人たちに問いかける。

「何故だ!」

 私は、その手紙の返答に納得が出来ないでいた。

「どうしました、アルテア殿」

「神聖な森から、返事の手紙が来た」

 ザリス殿が話しかけてくるが、私はどうして良いのか分からなかったがとりあえず話すのだった。

「ほう、それで」

「戦略級魔法使い殿には来て欲しいが、倭国の使者と私は森に来なくていいと言われてしまった」

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