2024.10.20 12:46第7話 三竦み「なるほど、図体が大きいとしてもそれが強い証明にはならない」「へへ、女に組み敷かれるっていうのも悪くはないもんだな。悔しいけれどよ」 それは互いが互いに対して思うところがあるからこその種族同士の会話だった。 植物人の女性は巨人の男性を押さえつけていた。植物の根っこやツタが幾重にも...
2024.09.17 13:42第6話 小人族「何なんだよ、あいつ」 少年は悪態をついていた。突如として村に現れたその男は何をするでもなく自分達について来るように言っていた。 そして何かするでもなく、いつの間にか自分達を安い賃金で使い潰していた村の長たちとの話をつけると食事と寝床を用意してこの洞窟での生活をするように指示して...
2024.09.15 14:25第5話 装置製作「なあ、これ何が駄目なのか説明はされないのか?」 その作業を開始してから、これで一体何日かかったのだろうか。一体何回俺は同じような、しかし構造が違うから存在している物として違うという屁理屈のような理由を並べて効果としては同じものであるはずの「理論上存在できない魔法を組み込んだ装置...
2024.09.15 13:33幕間 気づかれない異変「ふむ」 冒険者組合の組合長は自分の執務室にて片付けをしていた。 最近は業務が立て続けに舞い込んでいたため、ようやくできた自由時間である。 毎日あらゆる業務に忙殺されるからこそ、こういった時間を大切にしようとするのである。「組合長、これはどこに置けばいいですか」「それは向こうの棚...
2024.09.12 12:26第4話 仲間を探す 後編「あれぇ? なんか知らない人がいるよ?」 最初に向かったのはスライム人間の住む湖だった。 この種族は対外的に人間たちと関わることがない種族だったため、またおおらかに過ごしている種族である故に警戒心がとても低い。「悪いな」「え?」 なので、彼女たちが抱いていない感情を存在したことに...
2024.09.11 21:47第3話 仲間を探す 前編「仲間を探す?」 俺の提案に、きのこ人間の少女は不思議そうな顔をしている。「どうしてよ?」「理由は単純で、ここにいてもジリ貧だからだ」 奴隷や盗賊が互いに顔を見合わせたり、不思議そうにしたりする一方で頭だった男は納得した表情をしている。「そりゃそうだな。俺達盗賊も盗みを何度もする...
2024.06.30 09:59第2話 静かな侵略「記憶はあるのか。まあいいや。話せばわかるか」 目覚めた中で最後まで起きていた男が最初に話すには適任だと思って話しかける。「なあ、お前は俺をどう思っている」「どう、か……」 その男は自嘲気味に笑うと、正直に答えた。「怖いと思っているよ。尊敬や信仰っていう物は俺には無い。神にも親に...
2024.05.12 03:34第1話 Null「おい! 早く仕事を終えろ、レベルゼロ!」「あんたに売る品物なんかないよ、レベルゼロ」「やーい! レベルゼロ! レベルゼロ!」 村の人間はいつもこうだ。何もできない人間、そう勝手に決めつけて俺を邪魔者扱いして冷遇する。 仕事をしてもまともな給料を払わず、そして買い物もまともに出来...