第20話 悪魔契約4

「やっぱり先生との戦闘は楽しいですわ!」

 そう言いながら、セレアを操る犯人は俺に語り掛けてくる。

「他者の成長過程を見ることが出来る魔法。その応用」

 そう言いながら、私が新しく本を操ると、その支配権を上書きされる。

「他者の魔法の仕組みを理解して、自分の物として使用できる魔法! やはり強すぎて私羨ましいですわ!」

「買いかぶらないでくれ、明らかに操れる数に違いがありすぎる。操れる数は魔力量に依存しているのかな」

「そう言わないでくださいませ。それより、何時までこの体の主に自分で支配権を奪う様に促すつもりですの?」

「……」

「彼女は悪魔契約だと思っているようですわよ。だからこそ、既に絶望してしまっている」

「先生? いつからこんな弱い生徒を抱えるようになりましたの?」

「……」

「ちゃんと私力が欲しいかと聞いたのですわよ? だからこそ、こうして契約にのっとり、彼女が手にするのは数年後のはずの魔法を早く手に入れられるように促した。それまでの事なのに」

「その結果として、俺の生徒を傷つけるようなことは止めてほしいな」

「うらああああああああああああ!」

「何ですの」

「セレアを! 馬鹿にするんじゃねえ!」

「あなた、確か半年前に決闘した生徒ですわよね? なんでそんなに怒れますの?」

「セレアだって強い奴なんだ! 弱いとか勝手に決めつけるな!」

 剣で攻撃するが、アルバンの剣はセレアを操る奴の魔法であっさり封じられてしまう。

「しかし、よく操られる本人を攻撃出来ますわね」

「うるせえ! 早く起きろセレア! 俺達はお前の事弱いなんて思っちゃいねえ!」

「そうです! セレアさんにはセレアさんの強さがります!」

「気が付いて! セレアさん!」

「はあ、じゃあ。こうでもそう言える?」

 そうしてセレアを操る奴は、ナインの体を操り魔法を使用した。

「ナインさん?」

「ナインちゃん?」

「残念だね、自分で誰かを攻撃をしないために習得したはずの魔法で誰かの足を……」

「五月蠅いですわ!」

「セレア?」

「セレアさん」

「セレアちゃん」

『セレアちゃん』

「これ以上私の体を、好きにはさせませんわ!」

 その叫びが聞こえると同時に、全ての本が支配権を取り戻し重力によって床に落ちて行く。

「これ以上は何もさせませんわ!」

そして、セレアは床に崩れ落ちた。

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