第19話 悪魔契約3

「面白い魔法だね、物の支配権コントロールを操る魔法。使い方次第でこうやって無理やり重力に逆らって浮かせることも、本の記述の内容を実演させることも出来るなんて」

 そう言いながら、セレアは本から闇魔法による攻撃をしながら図書館を移動している。

「大丈夫か、マルクス。アクモシス!」

「僕たちは大丈夫」

「でも、ナインちゃんが」

「……」

 二人の腕の中で、ナインがぐったりしている。頭から血を流したナインの姿が痛々しい。セレアの攻撃からみんなを庇おうとして防ぎきれなかった攻撃が当たった結果だ。

「扉が開けばいつでも出るっていうのに」

 そう言いながら、俺はもう一度扉が開かないか確かめる。しかしやはり開かない。

「くそ、どうして!」

『アルバン』

「ナインちゃん!」

『逃げて……ここも危ない』

「どうした! ここも危ないって」

『セレアちゃんは……今何かの魔法で操られている。それに、そのせいで……使いたくない魔法を……無理やり使わされている……状態なの』

「無理やり、ですか」

『支配権……コントロールを……操る魔法って言っていた。つまり』

 そこで、何かが動くような音がした。俺は慌てて全員を翼で覆いながら移動させた。

『本棚とか……固定されているものも……支配権、コントロールを奪って……動かせる』

「そんなのありかよ」

『見た所……一度に沢山操っているように見えて……何か動かしているのは私たちに対しては……一つだけ』

「じゃあ、先生の方が」

『激しいんだと思う……』

「先生……」

「楽しいですわ! 先生!」

「……」

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