第7話 ドラゴンとの決闘2

 息が、出来ない。

「空て、こんなに違うんだ」

 そう思いながら、俺は空を飛んでいた。翼をはやすという魔法で生えた翼を背に、帝都の上空を。もうすぐ城壁さえも超えて、何もかもが足元に見える様な高さだ。そこで俺は見つけた。

「あれか!」

 炎を吐きながら、空中からの攻撃に耐えるように非常時に張られる魔法防壁を壊そうとするドラゴンの姿を。そして、ドラゴンに何とか攻撃しようと大砲を撃っているが全然命中する様子がない兵士たちの姿も。

「うらああああああ!」

 唸り声と共に、俺は炎を剣に纏わせて攻撃する。

「ウギャアアアアアアアア!」

「浅い!」

 鈍い感触と、鱗の硬い感触により剣が刺さったが全くダメージを与えたように感じられない。声を上げているが、これじゃあ倒せるものじゃないと剣を抜く。

「ギャアアアアアアアア!」

「うわわ!」

 そして、ドラゴンが防壁から離れようとすると、暴れだしたために俺は慌てて回避運動を取る。すると。

「ギャアア!」

「うわわ! こっちくんな!」

 防壁から離れて俺にめがけて突進をしてくる。いくら何でもドラゴンの突進をされたら直ぐに意識が飛んでしまうだろうから、こっちも必死に回避をする。

「炎は浅かった。だとしたら、俺は水魔法しかあと付与魔法エンチャント使えないけれど、賭けるしかない」

 こうして俺は、もう一度攻撃をするために付与魔法エンチャントをする。そして、ドラゴンにもう一度接近する。今度は背中側からだ。

「ウギャアアアアアアアアア!」

「よし、効いている!」

 今度は魔法の相性が良かったのか、敵に大ダメージを与えられているようである。これからはこれで畳みかければよさそうである。

「いけえ!」

「ウギャアアアアアアアアアア!」

水を纏わせた剣で何度も竜の腹を、足を、翼を、絶えず攻撃をしていく。

「ギャアアアアアアア!

「ウワッと!」

 しかし、敵も負けんとばかりに炎を吐いて応戦してくる。俺も慌ててそれを回避する。

 

「はは!」

 この時、俺はこう思っていた。楽しい。

胸に秘めていた思いがよみがえる、いつかかっこいいドラゴンキラーになって、有名になってやるという夢。しかし、現実は貧民街の出身で、その日暮らしをするばかり。

それが、帝都の学院にスカウトされたかと思ったら、あっという間にドラゴンと戦う機会を得られるなんて。こんな嬉しいことがあっていいのか。

「負けねえぞ!」

「ウガアアアアアアアア!」

ドラゴンの爪が向かってくる。俺が剣を構える。互いの武器が交錯する中、勝ったのは……。

「俺の勝ちだ!」

 俺の剣が、ドラゴンの首を打ち取って、勝ちをもぎ取ったのだった。ドラゴンは静かにそのまま地面に落ちて行った。

「これで」

「ウガアアアアアアアアアアアアアア!」

 その時だった、天より大きな悲鳴が聞こえたのは。そして、何かが俺めがけて炎を吐いてきたのは。慌てて俺は回避する。そして、それが見えた時、俺は理解した。先ほど見たドラゴンより、二回りほど大きなその姿は、明らかに。

「母親?」

「ウガアアアアアアアアアアアアアア!」

 逆鱗に触れた状態のドラゴンとの、二回戦が始まった。

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