第30話 短き戦争2

「ガリオン国が降伏だと」

「作戦はどうなる」

「もう山も中腹まで登って、奇襲準備は出来ているのだぞ」

 ロリアン王国への進軍をしようとしていたガリオン国とゾウルバン国の兵士たち。しかしガリオン国が倭国に負けたことでゾウルバン国の兵士たちはどうすればよいのか分からなくなっていた。

「あーあー、聞こえていますか?」

 そこで、突然謎の声が聞こえ始めた。

「私たちは倭国、この山は昔より雪山の民の居住地です。ですが。倭国はこの住民たちへの不当な殺害の様子を見て、これに調査をすることに決めました。つきまして、現在雪山にいる全ての種族は、協力をしない場合状況次第で倭国への敵対対象とみなします。繰り返します……」

『ちょっと、大きく出すぎ……』

 そんな言葉に、兵士たちは困惑した。

「雪山の民って、俺達が殺した原住民だよな」

「倭国を敵に回すのか?」

「だが、どのみち捕まれば殺人の責任を問われるかもしれないぞ」

 そう話し合いが行われたが、結論は決まった。

「原住民を殺した程度で、どうして我らが被害を被る」

「我らは栄えあるゾウルバンの兵士」

「我らの国に負けは無い」

 そう言って、全部隊が進軍した。

「残念なのです」

 そう言って、榛葉が手を挙げた。

「総員、射撃準備」

 後ろで、夢野が指示を出す。それと同時に。

「撃て」

 冷徹に指示がなされる。

 そこからは、語る必要もない大虐殺だった。

 雪景色に血化粧がなされて、数多の死体が積み重なっていく。最後は。

「うわああああああああ!」

「どうしてここで!」

「雪崩が起きるんだ!」

 全ての死体を洗い流すように、雪崩が起きた。魔法を使える猿渡の采配だが、実はこっそり敵が昇りやすいように雪が動かないように魔法をしていたのである。最後は、ある程度人が昇ったタイミングで魔法を解除して、自然と雪崩が起きるようにした。

「美味しいね、お母さん」

「たくさん食べるんだよ」

「鳴滝の飯は本当に美味いな」

「ありがとう」

 連れてこられたくせに何も知らない超級の相撲部こと鳴滝八幡は、雪山の民にちゃんこ鍋を振舞っていた。当然それを猿渡も食べているのだが、静かに大量殺人の片棒を担いでいたことに気が付いた人はいなかった。

「任務完了しました」

「総員ここに帰還するように伝えました。もう数分したら帰ってきます」

 そう言って、自衛隊と雪の民についてきた天下原学園の元生徒たち、彼らで温かい鍋を食べたという。

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