第16話 自宅警備員との合流

 ある晴れた日の事。

「それじゃあ、ここにいる二人を保護したら」

「ああ、直ぐに迎賓館に向かう」

 俺とアルテア、そして下で待っている特注の偽装車両は今日の予定に合わせて、もう一つ作戦を進めていた。

 とある同級生の保護だ。

「……」

 俺は心配した様子でインターホンを押す。違う人が出てきたら、失敗。しかし俺はこうするしかなく、押した後数秒待つ。

「来てくれたんだな。軍」

 そうして、俺は待っていた奴がちゃんと出てくれたことに安堵する。

「輝明。心配したんだぞ」

「悪いな、突然呼び出して」

「軍、こいつが」

「ああ、斎賀輝明。俺の同級生だ」

 俺はそうアルテアに紹介する。

「森の民⁉ どうして森の民が此処にいるのです⁉」

 その時だ、明らかに身長が子供位の女の子が驚いた様子でこちらを見上げる。

「輝明、お前誘拐でもしたのか?」

「違う。突然現れたんだよ。この間の倭国が転移した日にだ」

「! 倭国が何時転移したのか知っているってことは」

「まあ、ハッキングだな」

 何も悪びれずにそう言った。

 それから俺達は、荷物をまとめた輝明の分だけ運ぶと車に乗って迎賓館に向かった。

「ととと、とりあえず。はなはなは、話をしししようか」

「お兄さん?」

「なあこいつ、大丈夫か?」

「輝明は超級の自宅警備員って言って、自宅や自宅を守る事ではすごい力を発揮できる代わりに自宅以外では大した力を発揮できないんだ。会話も出来ない位に」

「それ駄目だろ」

 呆れた様子でアルテアがそう言う。

「まず、そちらの人は」

「はい、ミシェーネ・ロリアンです。ロリアン王国第三皇女なのです」

「こここ、小人族みたいで。しし、身長が小さい事が、特徴だって」

「なるほど」

「むー、私これでも大きい方なのです!」

 そう言うが、この身長だと正直説得力が無い。なにせ座席に座ったら足が床についていないのだから。

「それで、やっと国に帰してもらえるのですよね。お二人はお迎えの方だと聞いているのです」

「どうなんだ、軍」

 アルテアにそう聞かれ、正直俺も反応に困る。

「俺が聞いているのは、もしかしたらアルテアと同じ突如倭国に召喚された可能性のある人を護送して欲しいって話で、正直真に受けていなかった」

「はぁ⁉」

「でも、来てくれて、助かった。今日はしし、新台入れ替えの日だから、逃げるには絶好の日だし、非合法組織の末端構成員のおやじから逃げるには、ここ、こういうタイミングを狙うしかないから」

「でも、お前にしては珍しいよな。人助けなんて」

「いもいも、妹に、似ているから」

「ああ」

「「?」」

 車は走る。約束の迎賓館で会議をしている人たちが止まる予定のホテルに向けて一足早く。

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