2024.05.10 22:59第2話 願い 私たちは村から脱出した後、見知らぬ洞窟の中に身を寄せていた。「何よ……」「食え。腹に何か入れないと動けなくなるぞ」「いま食べられると思っているの?」 断るとハナシュは何を言っているのかという顔をしたが、静かに何かを落として傍に寄ってくる。「お前は嫌か」「何が」「虚栄の大王となっ...
2024.05.06 09:15第1話 虚栄の大王「虚栄の……大王?」 氷の月十三日。私の十二歳となる誕生日の日に私は教会に来ていた。 冬の寒さも厳しさを増してきて、あと少しでこれから暖かくなる時期になってくれると嬉しいなという時期。 そんな日に私は教会から神様によって特別な権能を授けられる「神授の儀」に参加していた。 同年代に...