第13話 中間試験の幕間
私はどうにか一人目のセレアちゃんに勝つことが出来たために安堵した。正直、私が言われた注意はこれだった。
『攻撃魔法が無い以上、相手に攻撃をさせないで勝たないといけません。だから、何としてでも足を止めてください。そうすれば攻撃出来る方法が、遠距離から魔法を放てる魔剣だけになるので、それを封じれば勝てます』
正直これでよかったのかは分からない。けれど、セレアちゃんなら十分高価な装飾具や、迷宮ダンジョンから見つかる道具で足の速度を奪ってもそれ以上の速度で動くかもしれない、そもそも浮遊して移動してくるかもしれないとか考えたが無事に沼の地形変更魔法と麻痺にさせる魔法の二種類で動きを封じて、最後の魔剣による攻撃も腕を縛ることで完璧に封じた。
「おーい、ナイン!」
そこで、アルバン君の声が聞こえる。
「すごかったぞ! やるなあ、ナイン!」
ほめてもらえた。その言葉に、顔がついにやけてしまいそうになる。
『うん、頑張った!』
最初このクラスに来た時には全然期待なんてしていなかったが、刺激的な授業の数々に美味しい食事。それに寝る場所も温かいし、クラスのみんなも温かかった。アルバン君なんか、私の事を頼ってくれたし。
「ご歓談中申し訳ないが、次の試合はセレアハートが治療のために時間かかるから自動的にアルバンとナインの試合になるぞ」
「お、俺か」
アルバン君との試合。セレアちゃんは既に迷宮ダンジョンに潜ったこともある人だけれど、アルバン君はドラゴンを倒しちゃった人。ベクトルは違うけれど強いことには変わりない。
『アルバン君』
「何だ」
『私、負けないから』
0コメント